コースは人が作るもの
[菅野]さて、話題を変えてゴルフコースの話をしましょう。僕が考える世界のベストコースは、来年全米オープンが開催されるメリオン。日本ではやはり鳴尾ゴルフ倶楽部。もう唯一無二といっていい価値がある。はじめてBIG3 in Japanで鳴尾に来た時にはもう圧倒されて。冥途の土産には是非鳴尾を持っていきたい(笑)。
[水巻]長い時間をかけて雨風の影響を受けてこの地形ができた。そして、80年以上も前の人たちがゴルフをよく知っていて本当に楽しむためにここの地形をみつけてきて・・・例えば1番は緊張するからフェアウェイを右に傾けて林。林が嫌だから左に打つとバンカー。2打目はスライスかけ損なうと左の谷底に落ちてノーチャンス・・・みたいに一つ一つのホールをものすごく考えながら作っていったのだと思います。
[菅野]それをずっと変えなかったのは?
[水巻]ここの人たちが代々頑固だからじゃないですか(笑)。「ゴルフとはこういうものだ」という考えをちゃんと持ってるというか。結局コースは人が作るものなんです。
鳴尾は好き嫌いがはっきり分かれるコース
[水巻]オリジナルがいくらよくても時代の流れというか、例えば日本中がベントグリーンにしなきゃいけないみたいな時がありましたけど、そういった時も何かの力が働いて鳴尾はそうしなかった。
80年以上経っても、人間の力ではどうにも及ばない要素がちゃんと残されてて、「人間もうちょっとがんばりなさいよ」って言ってるんだと思いますよ。
[菅野]鳴尾は知れば知るほど難しいって言いますが、どうも最近はいいスコアが出るのがいいゴルフ場みたいな風潮がありますね。
[水巻]鳴尾は好きな人と嫌いな人がはっきり分かれるコースです。嫌いな人はいつも簡単なゴルフ場でやっててスコア=結果が出ることが好きな人なんですよ。ところが鳴尾が好きな人は、いつもいじめられるけど、いつかはいいことがあると思ってやってる人たち(笑)。昔はこうだったとかあそこはこうだったとか30年、50年後にも語ってしまう人たちなんです。
僕が初めて鳴尾に来てびっくりしたのは、80歳を超えたおじいちゃんが「最近スピンがかからないんだよな。教えてくれ、どうしたらいい。」って来るんですよ(笑)。多分40年前くらいはかかったスピンをまたかけたい(笑)。かけられないとすると球を止めるには高く上げるしかないと言うと、今度はそれを熱心に練習するんですよ。鳴尾はそういうものがどの世代にもある倶楽部なんですね。
[佐渡]僕が今つけてるこのワッペンは、(ブレザーの胸部にあるワッペンを指さして)実は僕と友達四人だけで作っているゴルフチームのものなんです。GOLFBAKA(ゴルフバカ)の反対で、KABAFLGO(カバフルゴ)と言って、カバのキャラクターは僕がデザインしました。この連中は例えば朝8時スタートだったりするとゴルフ場が開く6時30分には来てしまう人達、いつもボールに触れていたいという。
[水巻]ここの人たちはボール打つの、本当に好きですよ。日曜なんか上がってきたら練習場がもう人でびっしりで(笑)。
[筏]じゃあ佐渡さん、今度はその皆さんで鳴尾にいらしてください。キャディは水巻ってのをつけますので(笑)。