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ヒストリー

 2020/09/09

アリソンの贈り物 ゴルフ歴史家 大塚和徳

大きな歴史的意味を持つ
アリソンの勧告

大塚和徳 ゴルフ歴史家

この「アリソンの勧告」は貴重である。ヒュー・アリソンが1931年1月に実際に現地を歩いてコースを観察しつつ描いたものだからである。これに先立つ“個別レポート”があって、それにグリーンやハザードの位置、形状の変更、等々が示されているようで、そのレポートの存在にはこの「勧告」の中でも触れられており、「勧告」はそれを補う役目も担っていると解釈できる。

 「勧告」から読み取れるのは、コースに対するアリソンの真摯な態度、詳細な観察、等々である。現存の鳴尾ゴルフ倶楽部のコースは、この「勧告」に描かれているものとは、細部で一致しない個所があると思われる。それは、1931年の時点でコース改造が全てアリソン流になされていないのか、あるいは第二次大戦中のコースの休眠状態、戦後の復活過程でコースが「アリソンの勧告」から逸脱したのかはわからない。しかし、そうだとしても、それは無理からぬことだろう。多少の差異があっても、鳴尾ゴルフ倶楽部の猪名川コースがベースとなってアリソン自身が作成した誠意のこもったコース改修勧告であり、鳴尾ゴルフ倶楽部にとって、またゴルフ界にとって、大きな歴史的意味を持っている。

1 9 3 0 年末から1 9 3 1 年にかけて日本に滞在した英国の設計家C . H .アリソンは、東京ゴルフ倶楽部朝霞コース、川奈ホテルゴルフコース富士コース、廣野ゴルフ倶楽部の設計などを行い、鳴尾ゴルフ倶楽部の新コースに対しても改修勧告を行っている。

> アリソン改造論の詳細内容はこちら

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